ネコはもともと水を飲む量が少なく、早くから腎臓に負担がかかりやすい傾向があります。
慢性腎臓病になると、
●多飲多尿
●食欲不振
●吐き気
といった症状を発症します。
一度失われた腎臓の機能は回復しないことが多いため、内服薬や食事療法、サプリメント等にて上手に付き合って病状の悪化を遅らせる、長期の維持治療が必要となります。
定期的な健康診断にて早期発見、早期治療も可能です。
最低でも、年に1度は、体重測定と血液の検査を行いましょう。
「ヘルペスウィルス」などのウィルスが原因で発症する病気です。涙、くしゃみ、食欲不振、発熱など、人間の風邪と似たような症状が特徴です。主な治療法は、インターフェロン(注射)によるウィルス増殖の抑制、ネブライザーによる吸入、二次感染を抑える抗生剤の投与などです。ワクチンで予防可能な病気です。
遺伝的な要因で発症することが多く、心臓の筋肉が肥大して、全身に血液を送る働きが悪くなる病気です。早期では無症状のケースがほとんどですが、悪化すると心不全などを起こし、血栓塞栓症や胸水貯留、肺水腫を起こし、命に関わる恐れが高いことが特徴です。
早期に発見できれば、超音波検査で定期的に経過を観察し、心臓薬や血栓予防のお薬で治療します。
ストレスや結石ができやすい体質から起こる病気です。膀胱炎になり、血尿・トイレの時間が長い、尿道閉塞といった症状が見られます。治療法は食事療法、ストレス軽減(サプリメントや飼育環境の見直し)です。
近年、ネコでもイヌのフィラリア症に感染する恐れがあることが明らかになってきました。ネコの場合は、血管内で幼虫が死滅して肺などの呼吸器に障害を与えることもあります(犬糸状虫随伴呼吸器疾患:HARD)。このため、難治性の咳や喘息などの症状が引き起こされるほか、食欲不振や体重減少、最悪の場合には「突然死」を招く可能性も否定できません。
血液中にミクロフィラリアが確認されることはまずありません。また、抗原・抗体検査で検出されないことも多いため、「原因不明」として治療に苦慮することが多い病気です。当クリニックでは、月に1回、背中に塗布するフィラリア・ノミ・回虫の予防薬をおすすめしております。
主に小型犬がかかりやすい病気で、遺伝的要因や歯周病の影響から発症するケースが多いです。心臓の弁に異常が発生します。初期は目立った症状はほとんど見られませんが、中期・後期には、咳が出る、舌が青くなる、呼吸困難になるといった症状が現れます。投薬による治療を行います。
食べ物や環境などさまざまな要因に対して、ワンちゃんがアレルギー反応を起こすケースが増えています。代表的なものは「アトピー性皮膚炎」で、脱毛、皮膚の赤みやかゆみなどの症状が出ます。アレルギーは原因によって治療法が異なります。
去勢手術を受けていないオスに多くみられる病気です。ホルモンの異常で前立腺が大きくなり、排尿や排便が困難になる、血尿が出るといった症状があります。予防・治療ともに「去勢手術」が有効です。
避妊手術を受けず、発情を繰り返すことなどが原因で、ホルモン異常を招き、子宮内膜炎から子宮蓄膿症を引き起こす場合があります。外陰部からおりもののような膿が出て、ひどいときは、食欲不振・嘔吐からぐったりとした様子になるなど、命に関わる病気です。手術で治療可能ですが、避妊手術で予防を心がけることが何より大切です。
フィラリア症は、近年、さまざまな予防薬の開発や予防意識の向上により、関東近辺では感染がかなり減っているようですが、まだ根絶されてはいないのが現状です。フィラリア症は心臓に寄生する寄生虫の病気です。すでに感染しているイヌから吸血した蚊が媒介して、他のイヌへと感染が広がります。
主な症状
感染初期は症状がほとんど現れません。感染後、数か月~数年経ってから、心臓・肺・肝臓・腎臓などに障害を起こすことが一般的です。
- 元気や食欲がなくなる
- 咳が出る
- 疲れやすくなり呼吸が荒くなる
- 尿の色が赤くなる(血色素尿)
- 貧血
- お腹が膨らむ(末期の腹水貯留)
※多数の成虫寄生が認められる場合、急性に発症する致死的な病態になったり、大静脈症候群を引き起こしたりすることもあります。
1成虫虫体摘出手術
頸静脈から細長い鉗子を使って、フィラリア成虫を心臓の中から吊りだします。目視下での処置ではないので、心臓や肺動脈に成虫が残ることがあります。
2注射での成虫駆虫(治療用ヒ素剤注射)
副作用が強く、場合によっては多臓器に障害が残ったり、体が耐えきれずに死に至ることもあります。
3通年予防・内科治療(成虫の寿命が来るまで継続)
ミクロフィラリアを常に死滅させ、虫の増加を抑制します。一番マイルドな治療法ですが、治療中も成虫によるさまざまな臓器への障害や、血栓症、大静脈症候群のリスクは否めません。
フィラリア症は治療可能な病気ですが、感染しないようしっかり予防することが何より重要です。蚊の活発な季節に月に一度、予防薬を内服もしくは塗布するか、12ヶ月間持続する注射を打つことで予防することが可能です。当クリニック周辺での予防推奨期間は、4~12月下旬です。
「病気になって初めて健康のありがたさがわかった」という経験は、誰しも一度はあることでしょう。元気だった人が急に大病にかかったり、見えないところで病気が進行していたりという話はよく聞くものです。人間の1年が4~5年に相当する、ワンちゃん・ネコちゃんの場合はなおさら多い話です。病気の早期発見のためには、7歳を超えた頃から、年1回のペットドックをおすすめいたします。
ペットドックは「完全予約制」で、原則として「1日1頭限定」で実施しております。ご希望の方はご予約をお願いいたします。午前中(~11時)にお預かりし、お迎えは16時以降となります。
検査内容
血球検査(貧血や感染・炎症の有無)、生化学検査(腎臓・肝臓など)の数値によって評価します。
胸部・腹部を中心に、臓器の位置関係などから正常・異常を評価します。
血液・レントゲン検査結果と照らし合わせて、腹部一般臓器の内部構造などから正常・異常を評価します。
尿検査では、結石の有無、尿糖の検出、膀胱や腎臓を始めとする「全身の健康」を調べます。糞便検査では、主に「内部寄生虫感染の有無」「腸内細菌叢」を評価します。
不整脈の有無など、心臓の働きの正常・異常を評価し、心臓疾患の早期発見に役立てます。
緑内障などの眼科疾患の早期発見に役立ちます。
注意事項
血液検査や画像診断の精度に影響する恐れがあるため、当日の朝は食事をできるだけ抜くようにお願いいたします。代わりに、ペットがいつも食べているフード(1食分)をご持参いただければ幸いです。
できれば、当日朝に排泄したペットの尿や便をご持参ください。
ペットドックでは麻酔は使用いたしません。
イヌ、ネコ、フェレット
※通常、子どものワンちゃん・ネコちゃんは、生後8週齢(約2か月齢)から1か月ごとに計3回接種し、その後は、毎年1回の予防接種で免疫力を維持する「ワクチン接種プログラム」を推奨しています。
- 狂犬病ウィルス
※混合ワクチンには入っていません。
※法律により、毎年の予防接種が義務付けられています。
- 犬ジステンパーウィルス
- 犬パルボウィルス
- 犬アデノウィルス
※犬伝染性肝炎(CAV-1)、犬伝染性喉頭気管炎(CAV-2)
- 犬パラインフルエンザウィルス
- 犬コロナウィルス ※新型コロナウィルスとは違います
- レプトスピラ(人獣共通感染症)
※コペンハーゲニー、カニコーラ、ヘブドマディス
※発生報告の多い地区・野山によくお出かけになる場合には、予防接種を受けることをおすすめいたします。
ペットの身体的負担の軽減のため、なるべくワクチンを打ちたくない飼い主さんには、「コアワクチン」と呼ばれる最重要ワクチン3種(犬ジステンパーウィルス・犬パルボウィルス・犬アデノウィルス)の抗体検査をおすすめします。十分な抗体が確認できれば、その年はワクチン接種を見合わせても大丈夫です。当クリニックから証明書を発行いたします。
- 猫伝染性喉頭気管炎(ヘルペスウィルス)
- 猫カリシウィルス
※FC-7、FC-28、FC-64
- 猫汎白血球減少症(パルボウィルス)
- 猫白血病ウィルス
- 猫エイズウィルス
- 猫クラミジア
犬ジステンパーウィルス予防が一番の目的ですが、日本国内ではジステンパー単独のワクチンが入手できないため、犬用のワクチン(2種混合)を接種しています。対象外動物への接種のため、まれではありますが、ワクチンアレルギーを起こす場合があります。ご理解をいただける方のみに接種しております。
ノミは体長約5㎜前後の大きさで、人間だけでなく、イヌやネコからも血液を吸う寄生虫です。イヌノミ・ネコノミなど種類が分かれてはいますが、宿主に関係なく、恒温動物全般を吸血します。体長の60倍の高さ・100倍の距離を跳ぶことができます。
ノミの被害
ノミアレルギー性皮膚炎
たとえ1匹のノミでも、寄生・吸血により、強い痒み、湿性皮膚炎、脱毛などを引き起こします。症状が出やすい場所は、腰背部、頚背部、大腿外側、脇腹です。
瓜実条虫の媒介
瓜実条虫はお腹の中の寄生虫で「サナダムシ」とも呼ばれています。ノミが媒介する寄生虫として代表的なものです。糞便検査で見つかることはまずなく、便の表面にキュウリの種のような片節が見つかることで、感染に気づくことが多いです。
マダニは動物の血液を唯一の栄養源とする、3~4mm程度の大きさの節足動物です。散歩中に草むらでワンちゃんの体につくことが多いです。特に当クリニック周辺は多摩川があり、草むらも多いため、ダニのリスクが高いと言えます。
マダニの被害
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
近年、マダニが媒介する「SFTS」は、人が命を落とすこともある危険な感染症としてニュースで話題になっています。SFTSウィルスを持つマダニに噛まれることで感染します。ペットの健康はもちろん、ペットに付着したマダニが飼い主さんを噛む恐れがあり、注意が必要です。
バベシア症(イヌ)
マダニが媒介する「バベシア原虫」がイヌの体内に侵入して感染する病気で、マラリアに似ています。40度以上の発熱、重篤な貧血、食欲低下、血尿などの症状を引き起こします。
つけ薬または飲み薬で、ノミ・ダニの予防と駆除を同時に行うことができます。また、ダニ予防のためには、散歩中になるべく草むらにつっこまないよう注意しましょう。
万が一、ペットの体にマダニが付着しているのを見つけた場合は、無理に取ろうとせず、当クリニックまでお越しください。飼い主さんが手で取り除こうとすると、マダニの口の部分だけがペットの体に残る恐れがあり、危険です。