診療案内

歯科治療

歯の健康の重要性

人間の歯周病は全身のさまざまな疾患を招くリスクがありますが、これはペットも同様です。ペットの場合の口のトラブルは、う蝕(虫歯)よりも歯周病として現れるケースが多くみられます。歯の周りについた歯垢が歯石に変わって細菌の温床となり、最終的に歯が溶けてしまうのです。

ペットの口のケアは、幼い頃からデンタルケアを習慣づけたり、普段から口の周りを触りながら様子を確認したりすることが大切です。なぜなら、動物にとって口は急所のひとつで、日常的に口の中を触っていないと、やがて口の中を触らせてくれなくなるからです。特に、一度歯周病が進行してしまうと、痛くて触らせてもらえないばかりか、噛んでくることもあります。見落としがちな歯のケアもしっかり確認してあげてください。

 

対応可能な病気・処置など

  • 歯周病
  • 乳歯遺残
  • 破折
  • 歯石除去 など

腫瘍科診療

腫瘍とは

腫瘍(良性・悪性両方を指します)は、さまざまな場所に、さまざまな形で現れます。比較的発見しやすいのは、体表に触れる「しこり」としてできるものです。しかし、ときにはわかりづらい場所に発生するものも少なくありません。悪性腫瘍の場合、容赦なく増大したり、もしくは転移(主に肺・リンパ節)する場合もあります。

当クリニックの治療方針

当クリニックでは、大学病院腫瘍科で研修した経験を生かし、「腫瘍科認定医」として可能な限りの治療を行っていきます。また、飼い主さんとじっくり相談し、目的をはっきりとさせたうえで治療を進めていきます。

完全な治癒が可能な場合

積極的治療(外科手術、抗がん剤など)

完治が難しい場合

少しでも元気でいられるような「緩和治療」(抗がん剤、レーザー治療など)

末期がんで治療困難な場合

全身状態の改善のための「対症治療」

腫瘍外科

重篤で命に関わる腫瘍の場合、延命のためには足の切断、顎の切除、眼球の摘出など、機能障害が残ったり、見ために大きな影響を与えたりする「大規模な外科的治療」が有効なこともあります。しかし、当クリニックでは、単に命を延ばすという観点だけで治療方針を決めることはありません。

「機能障害などを伴う手術を行った結果、ペットの寿命や生活の質はどうなるのか」「飼い主さんの心情や生活への負担はどうなるのか」など、さまざまな観点から検討したうえ、飼い主さんのご希望をしっかりお伺いして、最善の選択を探ります。

一方、良性のいぼであれば、局所麻酔やレーザーで比較的簡単に治療できます。小さな腫瘍でも気になる場合は、遠慮なくご相談ください。

抗がん剤治療

人間と動物では、抗がん剤治療の目的が大きく異なります。人間の場合、50歳でがんになったとすると、平均寿命まであと30年以上あります。30年にわたって命をつなぐためには、抗がん剤治療は有効な選択肢のひとつです。その代わり、強い副作用を伴うケースが多くなっています。

一方、イヌの場合は、がんになりやすいのは10歳前後からです。平均寿命はおおむね15歳なので、寿命までの時間は5年間です。このため、動物の抗がん剤治療は、天寿をまっとうするまでがんの再発・再燃を抑え、がんと上手く付き合うことを目的としています。そのため、副作用が出づらい量で治療するケースが多くなっているのです。人間のように強い吐き気に悩まされたり、げっそり痩せたりといったイメージの治療とはまるで違います。

しかし実際は、抗がん剤を使えばペットがもっと長く生きられる場合でも、副作用が強い人間の抗がん剤治療を連想してしまい、抗がん剤治療を選択しない飼い主さんが少なくありません。これは非常に残念なことです。ぜひ、抗がん剤治療の正しい知識を得て、飼い主さんとペットにとってより良い生活をおくることにお役立てください。また、疑問や不安には丁寧にお答えいたしますので、当クリニックまでご相談ください。

レーザー治療

対応可能な治療

  • 疼痛緩和
  • 歯周病治療
  • レーザーサーミア(腫瘍温熱療法)
  • 腫瘍切除
  • 鼻腔狭窄拡大手術 など
疼痛緩和(椎間板ヘルニア・関節炎)

レーザー照射により血流を良くし、筋緊張を緩和します。半導体レーザーの波長(810nm)は、近赤外線の性質で生体組織を透過しやすく、織内部への光の温熱効果をもたらします。椎間板ヘルニアや慢性化した関節疾患などで、継続的に治療することにより、痛みを和らげたり、関節可動域を回復することができます。

歯周病治療

歯周病でできてしまった、歯周ポケット内を殺菌します。歯石除去・ポリッシング後に行うことで、より口腔内環境を改善することができます。人の歯科領域では、この治療以外にも、根尖性歯周病の歯内療法、切開を必要とする口腔外科、知覚過敏の治療などにも用いられています。

※歯周病治療には全身麻酔が必要です。
※写真の右下顎後臼歯はレーザー治療の対象外で、抜歯いたしました。

レーザーサーミア(腫瘍温熱療法)

「腫瘍細胞が正常な細胞に比べて熱に弱い」という性質を利用して、手術困難・不可能な場合の緩和療法として行います。

治療実例1:口腔内腫瘍

左の写真のネコちゃんは、右頬から右下顎にかけて大きな腫瘍がみられます。くわしい検査の結果、頚部にも大きな転移巣が確認され、さらに肺転移もみつかりました。そのため、侵襲の少ない治療として、レーザーサーミアを実施しました。

レーザーの波長と色素の吸収波長が近いため、色素の注入された部分の温度が上昇します。色素は、生体に投与可能な検査試薬(ICG)を用いています。腫瘍内部に色素を注入、表面にも塗布。

レーザー照射。切除は行いませんでした。

レーザー照射から3週間後の様子です。頚部および肺の転移巣は変化ありませんが、口腔内の腫瘤はかなり縮小し、食べるのが楽になりました。

※今回は、あくまで緩和目的の治療です。可能ならば、下顎片側全切除手術等、より根治的治療をまず提示いたします。

治療実例2:体表腫瘤

御年19歳と、だいぶご高齢のおじいさんネコです。上腹部に皮膚腫瘍ができて表面が自潰しています。本来なら手術適応なのですが、すでに数年前から「慢性腎不全」も進行していました。局所麻酔での切除というには痛くて大きいため、レーザーサーミアを実施いたしました。

初診時

わかりづらいですが、お腹の右側です(乳首のあるところ)。横3㎝×縦3㎝×厚1㎝の大きさの腫瘍があります。周囲皮下に局所麻酔を施し、腫瘤にICG注入。非接触でレーザー照射しました。

4週間後(28日目)

レーザー照射4回目。腫瘤の縮小が一目瞭然です。表面麻酔とICG塗布しての外部照射のみ、実施しました。

6週間後(42日目)

同一部位です。最後にICGを塗布し、外部照射で痂皮化させ、治療を終了しました。

※あくまで局所の一時的な治療目的のため、組織診断や、定期的な転移のチェックなどは行っておりません。高齢であったり、腎不全だったりなどのリスクがない場合には、全身の精査後に、まず手術での摘出をご提案いたします。

腫瘍切除

腫瘍は、血管を発達させて栄養を奪いながら大きくなっていきますので、手術のときには
それなりの出血を伴うことが少なくありません。体の小さい動物においても、腫瘍の発生は比較的多く、かつ麻酔・出血のリスクで手術が困難な場合が多いです。そのような場面でも、短時間の麻酔で出血を最低限に抑えられるレーザーは、とても活躍してくれています。

治療実例:ジャンガリアンハムスター(1歳・体重40g)

左後肢(足の甲)に発生した腫瘤。約8㎜の大きさですが、体と比較するとかなりの大きさです。

手術前
上から
側面から
手術後

左後肢の内側から2本目の指に発生した腫瘍でした。麻酔導入~手術~覚醒までの合計時間は、約10分くらいでした。

手術1週間後

「術部を気にすることもなく、元気に生活してくれている」とのことでした。

ハムスターなどの小型のげっ歯類は、平均寿命が約2.5年といわれております。「小さく、そして短い命を一生懸命に生きているこの子たちにも、何かできることがあれば…」と考えております。あきらめる前に、一度ご相談ください。

鼻腔狭窄拡大手術

生まれながらにして鼻の穴が小さい短頭種のワンちゃんに多くみられる、呼吸が障害されてしまう「鼻腔狭窄症」の治療にも、レーザーを使用します。鼻腔狭窄は、若いころは症状が軽かったとしても、荒い呼吸状態が続くことで、将来的に軟口蓋の過長や、喉頭室外反などを連鎖的に悪化させてしまいます(=短頭種症候群)。

1歳未満での処置を行った場合、短頭種症候群の改善率は96%との報告されていますが、より高齢で治療を行った場合では、改善率は69%だったと報告されています。症状が軽い、若いうちの処置をおすすめいたします。

治療実例:ボストンテリア(1歳)

この子はガーガーという異常呼吸音が強くなり、運動時に疲れやすくなったため、軟口蓋切除手術と同時に、狭い外鼻孔の拡大手術も行いました。

処置前
処置後

奥行き約5mmまで焼灼・減容積していますので、処置前に比べて鼻通りはかなり良くなっています。

※術後、一時的に切除部位にカサブタができますので、1週間後に再診にて除去させていただいております。

また、焼灼後、鼻鏡部分がピンク色に炎症を起こしますが、1~2カ月で元の黒い色に戻ります。

 

外鼻孔拡大手術と一緒に、軟口蓋切除手術も行うことが多いです。

比較的年齢が若く、症状の強くない子は当院にて手術可能ですが、以前軟口蓋を手術して再発した子や、高齢、検査にて当院での手術が不可能と判断した子は、呼吸器専門の病院へ紹介させていただくこともございます。

 

 

去勢・避妊手術

去勢・避妊手術の重要性

去勢(オス)・避妊(メス)手術は、病気を予防し、ヒトも動物も快適で健康な毎日を送るために重要な手術です。

繁殖行動は子孫を残すために必要なことですが、人間社会で家族の一員として共に暮らす場合には、その行動が問題となってしまうことがあります。また、良質なフードやサプリメントができたことや、健康管理の意識が高まったことで長寿となったペットたちには、高齢期にさまざまな病気も出てくることがわかってきました。

 「自然の状態で暮らさせてあげたい」特にオスの場合には(お父さんが同じ男として)「健常なのにタマタマを取ってしまうのは抵抗が…」と考えがちです。しかし、実は人間社会で一緒に暮らすこと自体、自然な状態とは言えません。ましてや、それが健康を害してしまう原因となっているなら、なおさらです。

去勢・避妊手術で、問題行動や病気の予防

ワンちゃん・ネコちゃんの問題行動や病気のなかには、去勢や避妊手術をすることによって予防できるものが少なくありません。

オスの場合

問題行動

  • 縄張り意識によるマーキング(=不適切排尿)行動
  • 優位性攻撃行動(男性ホルモンが多いことによる)
  • 発情期のメスのフェロモンにより、落ち着かなくなったり脱走したりする(興奮しやすい)
  • ケンカが絶えない(猫エイズや猫白血病蔓延の原因になる)
  • 欲求が満たされないことによるストレス(無駄吠え、破壊行動、自分の毛をむしる、舐め続けるなど)

問題行動

  • 前立腺腫大(嚢胞・膿瘍形成)
  • 精巣腫瘍
  • 肛門周囲腺腫
  • 鼡径ヘルニア
  • 会陰ヘルニア
  • 伝染性生殖器腫瘍(可移植性性器肉腫)
メスの場合

問題行動

  • 発情期に外陰部から出血。その後、乳腺が発達して乳汁が出る(イヌ)
  • 昼夜問わず、大声で鳴き続ける(特にネコ)
  • 発情により興奮し、脱走してしまう
  • 望まない繁殖のため、飼育できない子どもが増えてしまう(特にノラ猫)そのため、殺処分されてしまう頭数が増加する

代表的な生殖器関連疾患

  • 子宮蓄膿症
  • 卵巣・子宮腫瘍
  • 乳腺腫瘍
  • 膣脱

また、直接的な原因ではありませんが、去勢・避妊手術により、緩和が期待できる病気もあります。(性ホルモン関連性皮膚疾患、糖尿病、クッシング症候群など)

去勢・避妊手術に適した時期

手術に適した時期は、ワンちゃん・ネコちゃん、ともに生後5~6か月以降です。オス・メスとも早めの手術がおすすめです。オスの場合は、攻撃行動が出にくくなり、しつけやトレーニングに有効です。メスの場合は、早めの手術で乳腺腫瘍のリスクが下がるなどのメリットがあります。

去勢・避妊手術のリスクと対処法

去勢・避妊手術には以下のようなリスクがありますが、いずれも手術前・手術後に適切な対処をとることで回避できます。

全身麻酔

麻酔自体の影響はもちろん、手術時の止血異常などが手術のリスクとして挙げられます。これらは、事前の術前検査、麻酔の選択、モニタリングなどで、限りなく回避することができます。

 

肥満

手術後は、ホルモンバランスの変化により、約30%前後のカロリー消費の減少が報告されています。そのため、手術後の食事は、必要な栄養素を含み、かつ含有カロリー量が少なめのフードを推奨しています。手術後の体調管理に適したフードもありますので、サンプルなどご覧になりたい方は、遠慮なくお申し付けください。肥満は食餌によってコントロールすることが可能です。

※手術をお悩みの方は、気軽にご相談ください。

 

ご予約・ご相談はお気軽に

動物病院でお悩みでしたら、福生市にある

エールペットクリニックまで、まずはお気軽にお問い合わせください。

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